ポーロング小学校 新校舎建設

増える生徒に対して不足する教室

校舎はあるものの劣化した危険な校舎で充分に使用できず

 

カンボジアの南東部、首都プノンペンから100kmほどに位置するプレイベン州コンポントラバイ郡。

プラサットコミューンにあるポーロング村の小学校が今回の支援地。

現在、生徒数は464名。それに対して校舎は3棟あるものの、1つの校舎は老朽化が著しく、屋根は剥がれ壁は崩れて半分ほどになっており、使える教室があってもとても危険な状態での使用となっています。

屋根が剥がれ、倒壊の危険もある現校舎(写真提供:JHP 学校をつくる会)
屋根が剥がれ、倒壊の危険もある現校舎(写真提供:JHP 学校をつくる会)
464名は過去のプロジェクトでも最多規模の生徒数
464名は過去のプロジェクトでも最多規模の生徒数

生徒464人に対してトイレは7室しかなく、教室も1室67名での使用と学内の環境は逼迫しています。

さらに、コミュニティから3〜5歳の園児の受け入れも要望されており、この地域における就学環境の改善が急務となっていることを知りました。

新校舎1棟と新たなトイレができれば、1室あたり43名での使用となり利便性と衛生環境の改善につながるとのこと。

 

以上の事情を鑑みて「やくそく」プロジェクト8校目のプロジェクトはここ「ポーロング小学校」に決定しました!

 

学校名 ポーロング小学校
建設地

プレイベン州コンポントラバイ郡プラサットコミューンポーロング村

工事期間 2024年11月〜2025年1月
竣 工 2025年1月27日
贈呈式 2025年2月10日

※地図をクリックするとGoogleマップを表示します

 建設前の状況
  • 学校は2部制の合計16クラスが勉強している。
  • 校舎は3棟あるが、一番古い校舎は劣化が著しく2部屋しか使えず、倒壊の危険性もある。
  • 年々生徒の数が増え、地域からは3〜5歳の園児の受け入れも要望されている。
  • 生徒数に対してトイレの数が不足。衛生環境もよくない。
支援内容
  • 校舎1棟(3教室)
  • トイレ1棟(4室)
  • 教室内備品(机、椅子、黒板、教壇、靴箱など)
  • 贈答品支援費

 

<支援前の現地のコメント>

 

■学校長

1995年に建てられた校舎の状態は年々悪化しています。毎年、ポーロング小学校は生徒数が増加しているため、悪条件の中、5室の内2室を使用せざるを得ない状況です。

現在は5、6年生と英語の特別授業を行っていますが、特に激しい降雨時は雨漏りと降雨がトタン屋根に弾く騒音のため授業を中止しています。その結果、学期内にカリキュラムを終了できない状況が発生しています。

また、この地域では3~5歳の園児の受け入れの要望が高まっていますが、現在本校では5~6歳の2クラスが限度です。

このために、3歳~4歳と4歳~5歳のクラスも新設したいと思いますので、1棟3室の校舎新設を希望致します。

2024年11月4日、マーケットトラスト代表の狩野富をはじめ、「やくそく」プロジェクトメンバー他、マーケットトラストのグループ会社の方々や東京のバレエスクール ケイナカノクラシックバレエアカデミーの方々など総勢16名でポーロング小学校を訪問しました。

村民、生徒合わせてなんと約500名!
過去最大の人数が出席するなか最終協議会(=村民説明会)が行われました。

 

今回もJHP学校をつくる会の皆さんの進行のもと、当プロジェクトの紹介や挨拶などを行いました。
前述のバレエアカデミーの生徒さんによるバレエを披露する一幕も。

最後は恒例のお菓子配り!過去最大規模の人数を相手にメンバーも大奮闘!
村民の皆さんと楽しい交流となりました。

「やくそく」プロジェクト8校目となる「ポーロング小学校」の新校舎が無事に完成しました!

 

2025年2月10日、代表 狩野 富とプロジェクトメンバーが現地を訪れ、「JHP 学校をつくる会」の皆さんの進行のもと新校舎の完成贈呈式が行われました。

 

贈呈式の詳しい模様は下記よりご覧ください。

8校目の贈呈式の壇上に立ち、目の前に広がる光景を見た瞬間、胸が熱くなりました。

満面の笑みを浮かべる子どもたち、新しい校舎を前に喜びをかみしめる先生や地域の皆さん。

この笑顔を見るために、「やくそく」プロジェクト発起人であるのマーケット狩野社長は10年以上歩み続けて来たのだと、改めて強く感じました。

 

このウェブサイトにも書いてありますが、「いつかカンボジアに学校を建てよう」それは狩野社長が娘さんと交わした「やくそく」でした。

そして10年後、私にこう声をかけられたのです。

「増田、カンボジアに行くぞ!学校を建てるぞ!」

ついにその日が来たのかと、鳥肌が立ったのを今でも昨日のことのように覚えています。

 

当初私は学校を“1校”を建てると勝手に思っていました。

しかし、1校目の贈呈式が終わった後、狩野社長はこう言いました。

「また来年も学校を建てるぞ。1校だけで終わるのはカッコ悪いじゃん。まずは60歳まで毎年1校だ!」

その言葉に驚きながらも、私は狩野社長の強い思いを感じました。

 

誰でも一度は頑張れる。無理をすれば一度だけなら達成できるかもしれない。

でも、それを「続ける」ことは決して簡単ではありません。

資金の問題、運営の問題、現地の課題、そしてコロナ禍…立ち止まりそうになる困難は何度もあったと思います。

それでも、狩野社長は歩みを止めることはありませんでした。

諦めるという選択肢は最初からなかったのだと思います。

私はその姿勢を間近で見ながら、覚悟の重さを改めて感じました。

 

カンボジアの都市部は急速に発展しています。

高層ビルが立ち並び、商業施設が増え、道路が整備される一方で、地方の学校は10年前と変わらない。

崩れかけた校舎、足りない教室、劣悪なトイレ環境。

学びたいと願う子どもたちが、その機会を奪われている現実があります。

 

そんな状況を目の当たりにしたとき、私たちは問われました。

「それでも支援を続けるのか?」

 

狩野社長の答えは決まっていました。

「続ける」以外に、選択肢はない。

 

私たちの支援が、子どもたちの未来につながるのなら、たとえ小さな力でも、できる限りのことを続けていく。

それこそが「やくそく」プロジェクトの使命なのだと。

 

今回のポーロング小学校の贈呈式を迎え、改めて思います。

この活動は、狩野社長の決意と、多くの方の想いが積み重なり、今、ここに形を成したのだと。

 

支えてくれた皆さま、共に歩んでくれた仲間、そして未来を担う子どもたちへ——

心から感謝申し上げます。

そして、このようなプロジェクトに関わらせてくれた狩野社長にもこの場を借りて感謝を申し上げます。

 

でも、これは終わりではありません。

「やくそく」プロジェクトは、これからも歩み続けます。

 

すべての子どもたちが、夢を描ける未来のために。

そしていつの日か、支援を受けた子どもたちが、今度は誰かのために手を差し伸べる日が来ることを信じて。

 

その日まで——

「私たちにできることを、できるだけたくさん、できるだけ長く」私たちはこの“やくそく”を果たし続けます。

 

「やくそく」プロジェクト事務局
増田 博道