カンボジア道中記2

第1話「旅立ち〜土煙舞うシェムリアップ」

<2015年5月22日(金)深夜~羽田出発>

それぞれ忙しい仕事を何とか片付けて、空港へと向かう。集まった6人の顔には残してきた仕事のこと家族のことがよぎるのか、一様にそわそわしている感じ。

 

中村美佐江さん(以下:ミサエ)

「なんかこれからカンボジアに行くっていう実感がない…」

 

KOSMICさん(以下:KOSMIC)

「俺も。海外自体久しぶりすぎて、かなり浮き足立ってるよ(笑)」

出発前の羽田国際空港にて
出発前の羽田国際空港にて

実は合流直前…

星野(ほっしー)がWifiを受け取るためにカウンターに行ったところ、見たことのあるギターケースが…。

 

星野(以下:ほっしー)

「!? あの、、コレもしかして、コズミさんって方のじゃないですか?」

 

受付

「あ、そうです!良かった、同行の方ですか?」

 

…まさか商売道具を忘れるとは!? かなりの浮足具合である(笑)

しかし、単なる観光旅行ではないこの旅、特に初渡航組は不安と緊張で皆浮足立っていたのである。

田山(以下:たやまん)

「福~、ビール」


増田(以下:まっすー)

「今のうち食っとかないと」


たやまん

「カレー? 夜中でも食うねぇ(笑)」


お馴染みのこの2人は余裕である。

早くもくつろぎモード(?)のたやまん・まっすー
早くもくつろぎモード(?)のたやまん・まっすー

福岡(以下:フッキ)

「これだけ飲んでおけば大丈夫! 機内用の耳栓も買ってきました(゜∀゜)


前回の道中記を読んで、現地での体調不良に怯えるフッキ。このほかにもドッサリ医薬品を詰め込んできていた。。


まっすー

「おまえ、それ逆に具合悪くなりそうだよ、、」

事務局のムードメーカー、フッキ(福岡)
事務局のムードメーカー、フッキ(福岡)

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0:25 出発


まずはバンコクに向けて6時間の飛行。

バンコクで約3時間の乗り継ぎ待ちをして、そこから約1時間の飛行。

現地時間の910、カンボジアのシェムリアップに到着。日本からの時差はマイナス2時間である。

深夜の移動ということもありなかなか身体に堪える。

小さな飛行機を一歩出ると、、

 

一同「暑っ!!」

 

予想はしていたが、、予想以上(笑)。

雨季に入ったのでまとわりつくような暑さ。息苦しいくらい。


カンボジア入国にはビザの取得が必要で、あまりフレンドリーではない係員の対応もあって入国手続きに時間がかかる。

シェムリアップ国際空港
シェムリアップ国際空港

KOSMIC

「あれ? ビザ申請はやっぱりこっちに並べって


ミサエ

「も~何言われてんだかわからない~。わたし舌打ちされたよ(笑)」


いきなりの先制パンチである。


空港からタクシーに乗って約1時間。

シェムリアップのオールドマーケットのそばにあるホテルに向かう。

独特の赤い土煙が舞い上がり、強烈な日差しのなかを無数のバイクが縫うように走り抜ける。路上には所狭しと商売をする屋台の列。アジア旅行に慣れていない日本人の我々からしたら、まるで映画のセットのような光景が広がり、そこに居ながら目の前の光景は現実でないような、不思議な感覚に襲われる。

シェムリアップはアンコール・ワットをはじめとした遺跡観光の拠点である。


観光地なので、街はキレイとは言えないが旅人の目を楽しませるものがあり、今夜の宿泊先もリゾートホテルで快適である。

 

フッキ

「や~、いい感じのホテルじゃないですか!」


そこへウェルカムドリンクのオレンジジュースが運ばれてくる。


誰も手をつけない。


前回の道中記を皆何度も読み、色々な話を聞き過ぎている初渡航組。

この時の我々は、誰が一番最初に腹痛になるか戦々恐々としていたのである。

 

まっすー

「俺飲むよ~、喉乾いたもん(゜∀゜)


さすがまっすー、4度目のカンボジア。余裕である。

滞在先のロイヤルクラウンホテル
滞在先のロイヤルクラウンホテル

ホテルに荷物を置き、皆でマーケットを歩く。日は真上に差し掛かり、かなりの暑さ。あまりの日差しに、とりあえず目に付いた店で帽子を買う。


まっすー

「ちゃんと値切った?」


ほっしー

「はい、2個買って7ドルって」


まっすー

「ダメよ、もっとガンガンいかないと」


たしかに、どの品物の値段を聞いても5ドルか15ドルであった。

マーケットでの買い物はこの値引き交渉を楽しむくらいでいかないといけないようだ。

にぎやかなメインストリート
にぎやかなメインストリート
あまりの日射しに帽子を買う(左:ほっしー 右:フッキ)
あまりの日射しに帽子を買う(左:ほっしー 右:フッキ)

さらにメインストリートの奥へと進んでいく。

少し歩くとすごい異臭が、、


フッキ

「くっさ!何この臭い


たやまん

「フク〜、はい取材取材。行っておいで 

今回も小悪魔たやまん健在である。

市場の入口。ものすごい臭いが…
市場の入口。ものすごい臭いが…

その場所は食料品市場だった。

薄暗いアーケードに魚、肉、野菜、ところ狭しと並べられ、肉や魚はその場で捌いて売られている。

換気が非常に悪く、地面に落ちたものもそのままなので異臭がひどい

ただ、人々の生活と直結している場所だからなのか、そこかしこで大きな声で商売が行われ、とてもエネルギッシュな場所だった。買って食べたいとは思わなかったが。

人と物で溢れる市場を回って、それぞれ写真を撮ったりしていると…


「うぅぅわぁぁぁ~~~~!!」


ただならぬ叫び声。

声の方を見ると、たやまんが飛び上がっている。

捌いていた鶏肉が跳ねてたやまんを直撃したらしい。よりによって半ズボンの素足を

市場の皆さん大爆笑。。


たやまん

「プッ、、プク~~!!」


フッキ

「はいっ!さーせん!(え?なんで俺怒られてんの? しかもプク~って)」


色々強烈だった市場を後にし、カンボジアで最初の食事。

キレイなカフェレストランへ入る。


ここで一同、長時間のシンキングタイムに入る

まっすー「やっぱさ、生野菜とかはダメだと思うの」

ミサエ「え?前回サラダパンとかやってなかったっけ?」

フッキ「う~ん、魚ってやっぱさっきの市場のやつでしょうか?」

ほっしー「だったらキツいねぇ」

KOSMIC「じゃあ、俺は魚でいってみようかな」

たやまん「おっ!いくねぇ」


いま振り返ってみれば、あとであんなの食べたんだから

ここで警戒する必要なかったじゃん、と思うのである(笑)

結局みんな無難なものを頼みました(笑)
結局みんな無難なものを頼みました(笑)

昼食をとり、一度宿に戻ってから現地の足であるトゥクトゥクに乗ってある場所を目指す。


土埃がすごいのでマスクが必須。現地の人でさえマスクをしている。

それでも風に吹かれながら乗るトゥクトゥクはとても気持ち良く、観光地特有ののどかで陽気な空気が流れ、我々は早くもカンボジアを満喫していたのであった。


ミサエ

「あ~気持ちいい!やっぱ旅はいいねぇ~」



…しかし、我々が向かった場所は決して楽しいところではない。

東南アジアといえばこのトゥクトゥク
東南アジアといえばこのトゥクトゥク
狭いうえにかなり揺れるが、不思議と快適
狭いうえにかなり揺れるが、不思議と快適

「キリング・フィールド」


カンボジアに何箇所かある、ポル・ポト時代に大量虐殺が行われた刑場跡である。

我々が向かったシェムリアップのキリング・フィールドは、中央に建てられた小さな塔のような建物の中に犠牲者の遺骨がギッシリと積み上げられ、もの言わぬ骸が恐ろしい事実を雄弁に語っている。

不自然なほどキレイに積まれた遺骨がそれを助長していた。

全体は寺院になっていて、祈りを捧げるお堂があり、外では少年僧が土木作業をしていた。

見渡すと何組かの物乞いの姿、足がない人、水頭症なのだろうか、頭が肥大した子どもを傍らに寝かせて施しを乞うている人。来客の靴を揃えて小遣いをねだる子ども。

そう広くない敷地は静まり返り、ただならぬ空気が漂っている。


まっすー

「改めて見るとキツイね


気持ち良い風を受けて高揚していた気分は瞬く間にしぼみ、

改めて、傷付いた国カンボジアに来ているのだということを感じた。

 

その後に行った西バライの夕日を眺めながら、我々はこれからはじまる旅で見るもの聞くことをしっかりと受け止めたいと思った。色々な顔を持つカンボジアという国をもっと知りたいと思った。

西バライ(West Baray)は、湖ではなく大きな貯水池。
絶景の夕日が見られる鑑賞スポットでもある。

ミサエ

「あ〜いい夕日だ…」

 

まっすー

「じゃあ戻ろうか、夜はアプサラダンスだよ」


たやまん

「フク~、トゥクトゥクどこいった?トゥクトゥク

 お~い、プク~!プクプク~~!」


フッキ

「はいっ!さーせん!(プクプクって、、、)」

その夜はまっすーが調べていたアプサラダンスが見られるレストランへ。

アプサラダンスとは、バイヨンなどの遺跡の壁画にも登場するカンボジアに古くから伝わる宮廷舞踊であり、ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されている。豪華絢爛な衣装とその優雅な舞は、かつてのクメール王朝が高度な文化、芸術を誇っていたことを物語っていた。


まっすー「すばらしいね」

ミサエ「本当すごいね」

伝統舞踊 アプサラダンス
伝統舞踊 アプサラダンス

食事を終え、買い物などをして宿へと戻る道すがら、夜道でゴミを漁る幼い姉弟を見かけた、特にコソコソする様子もなくゴミ袋を漁っている。


楽しいショーや美味しい食事をした後の我々は正直胸が痛かった。でも彼女らにとってはこれが日常であり生活の糧なのだ。




カンボジアに来てまだ1日も経っていない。

それでも楽しいもの、恐ろしいもの、美しいもの、悲惨なもの、早くも様々なものを目の当たりにした。頭を整理するのが難しいほどだ。

ただひとつ言えるのは、カンボジアは私たちが思っているような非情な歴史に傷つき、苦しんでいるだけの人たちではなかった。確かにそういう面もあるだろうが、それ以上に陽気でエネルギーに溢れる人たちだった。

外から見ただけではわからない、魅力のある国だと思った。

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解散後のホテル室内にて


ほっしー

「さすがに疲れたね~、すぐ寝れそうだね」


フッキ

「疲れましたね。でも俺、結構眠りが浅いんですよ」


ほっしー

「そうなんだ、ちょっと仕事しちゃうけど大丈夫?」


………


………………


フッキ

ンゴォォォォ~~~zzzz


ほっしー

………。」


結局、翌朝起こされるまで爆睡のフッキであった。


<第1話 了>

 

「今日のクメール語講座(1)」

 

チョムリアップ スォ」=こんにちは

 

 

合掌するのがポイントです。

 

<次回予告>

怒濤の初日を終え、早くも色々なカンボジアを味わった一行。
2日目は、旅前半の目的であるカンボジア遺跡巡りへと出かける。そこで様々な人たちと出会い、美しい遺跡群に感激する。


…そして、またもたやまんに鶏肉に続く災難が!?

 

第2話をお楽しみに。


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