カンボジア道中記
第4話「バンティアイチャックレイ中学校」
<2014年11月24日12:00 プレイベン州 バンティアイチャックレイ中学校に到着>
12:00 約4時間をかけて支援候補である
「バンティアイチャックレイ中学校」に到着
田山(以下、たやまん)
「なんだか、のどかでいいね」
増田(以下 まっすー)
「自転車とバイクの数が多いなぁ…」
訪れたバンティアイチャックレイ中学校の子どもたちは皆一生懸命に勉強していた。
こちらを気にしつつも、手を振ったりしない。皆シャイでまじめな子どもたちだ。
早速、今回建て替えが必要とされている第2校舎を見に行く。
校舎と呼んでいいのかもわからない、木造にトタンを貼り合わせた小屋である。
そこに50名ほどの生徒がギュウギュウ詰めで勉強している。電気はもちろん通っていない。
所々トタンがはがれ、雨が降ったら使えない。倒壊の危険もあるため使用するのは危険だが、生徒が他に勉強する場所はなく、2部制※にするかこの危ない校舎を使わざるを得ない。
※2部制…教室や教師の絶対数が不足しており、午前/午後の二部制で授業をする。
まっすー
「これは危ない…」
たやまん
「しかも暗いなぁ、これじゃ目を悪くするよ」
隣には広い校庭、というより空き地。牛がのんびりと草をはんでいる。
井戸はあるが、ポンプが故障していて使えない。やはり生活用水には雨水を利用していた。
近くを流れるメコン川の影響で自然ヒ素が強く、どこを掘っても良いというわけではないため、水にはとても苦労している。
特にトイレは4室あっても破損していて使用できず、女子生徒のためにも何とかしてあげたいと学校側は話していた。
子どもたちの多くは、自宅から長い道のりを自転車やバイクで通っている。
昼食はほとんどの生徒が一度帰宅して自宅でとり、また午後に学校へ戻ってくる。我々が到着した時間はちょうどお昼休みに入る時だったので、皆自宅に帰る準備をしていた。
そんな忙しい時間だったが、一人の女子生徒に話を聞くことができた。
サヴォーン(女子、13歳、中1)
家から学校まで10kmの道のりを毎日自転車で通学している。
お弁当を持ってくるときもあるが、だいたいは昼食をとるために1度帰宅し、また午後に学校へ戻ってくる。 勉強は好きで、学校に来るのを楽しみにしている。
現在、木造トタン校舎で授業を受けているが、雨風がひどいときは、校舎から一時避難して、天候が良くなるのを待つ。
逆に晴天のときは暑くて授業に集中するのが大変。とのこと。
お昼の短い時間を邪魔してはかわいそうなので、最低限のことを通訳を介して聞いただけだったが、サヴォーンは嫌がりもせず笑顔で答えてくれた。
他の生徒たちもこちらがオドけてみせると、恥ずかしがりがりながらも笑顔で返してくれる。その雰囲気は何となく日本の子どもたちに似ていた。
白いシャツに紺のズボンやスカート。子どもたちにとって学校に来ることは特別な時間なのかもしれない。
一つ気になったのは、建て替えの必要はないと聞いていた第1校舎も、壁の穴や所々小さな破損がそのまま放置されていたこと。とても大事に使われているとは言い難い。
なぜ、この程度の破損を直さないのか?
清掃や建物の保全はやってないのか?
考えたくはないが、損傷を直してしまうと支援が受けられないと思っているのだろうか。
「すべてを与えてしまうと、与えられた人は自分で動こうとしなくなる」とどこかで聞いたことがある。
ここにボランティア支援の最大の難しさがあると。
支援する側はあくまでその道筋を示し、実際に動くのは本人たちでなければならない。
学校を建てたあとはその学校を大切に使う、ちゃんと掃除をして壊れたら軽度のものは自分たちで直すという当たり前のことを教えて実践していく必要がある。
たやまん
「今、清掃などは誰がやっているんですか?」
JHPスタッフ
「清掃やゴミ出しは教員がやってます」
まっすー
「ちなみに教員の給料だけで生活していけるのでしょうか?」
JHPスタッフ
「いや、それは難しいと思います。一般的に生活に必要な収入が200ドルくらいなのに対し、教員の給料は100〜150ドルくらいですから。多くの人が農業など別の仕事をしながらやっている状況ですね」
まっすー
「いや〜それは厳しいなぁ…なり手がいなくなっちゃうね」
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我々はバンティアイチャックレイ中学校を後にし、次なる視察地「ピーロム中学校」へ向かった。
現地に到着する前に、まずは昼食。
連れて行ってもらったのは、トタンの屋根に椅子とテーブルがあるだけの場所。
でも、日本からやってきた我々を歓迎し、恐らく周辺で一番良いと思われる飲食店を用意してくれたのだろう。その気持ちは痛いほどわかった。
まっすー
「すぐ裏が川らしいから見に行こうか?」
たやまん
「よし、行ってみよう」
飲食店の裏側にある川岸へ出てみた二人。
そこには料理で使われるであろう肉などが天日干しされていた。
まっすー
「あれ、なんの肉だろう…」
たやまん
「さっきの話じゃ、牛、、らしいよね?」
早速、料理が振る舞われる。
ご飯にスープ、先ほどと同じ物と思われる肉がこんもりと盛られる。箸が進まない。。
観念したまっすーが早く食事を終わらせようとご飯だけをかき込む。するとすぐさまおかわりをついでくれるの親切な店員さんなのであった。
まっすー
「俺、もうヤバいかも…」
正直に言おう。我々日本人にはとても厳しい食事だった。
昨日今日カンボジアに着いて、ハエのたかっている米や何の動物かわからない肉を喜んで食べるなんてできないのである。歓迎してご馳走してくれている彼らを前に情けないやら恥ずかしいやら…。
そんな我々をよそに、JHPスタッフは黙々と食事をしている。
まっすー
「あの、、やっぱり最初は食べれないものとかありましたよね?」
JHPスタッフ
「そりゃありましたよ、でもね現地スタッフが喜んで食べているものじゃないですか「あぁ、やっぱり日本人は俺たちの食事は食わないんだ」って思われるのがイヤで食べました」
まっすー
「タガメも?」
JHPスタッフ
「食べましたね。口に入れて最後は羽だけ出すんですよ(笑)」
たやまん
(バカ!そんな質問したら、俺たちも食わなきゃならないだろっ!!)
まっすー
「で、、ですよねぇ。やっぱり」
結局、タガメこそ出なかったものの、出された食事をしっかり食した二人。
JHPスタッフ
「あ、そのジュース。氷入ってるので捨ててください。
コップについた水滴も危ないので拭き取ってくださいね」
たやまん・まっすー
「・・・やっぱダメなんじゃん!」
その後二人のお腹が“スプラッシュマウンテン”だったのは言うまでもない。。。
<第4話 了>