ボンオンサオン小学校 新設の公立小学校の建設
建設地 | トボンクムン州 ボンオンサオン地区 |
支援内容 | 学校がなかったイスラム集落への新設の公立小学校の建設 |
工事期間 | 2016年3月〜8月 |
竣 工 | 2016年8月22日 |
贈呈式 | 2016年12月2日 |
教育が受けられない集落に学校を
2校目のプロジェクトは、首都プノンペンを北東に約130km、車で3時間ほど行った、トボンクムン州 ボンオンサオンという地域への小学校の新設。
ここはイスラム集落で湖に面した小さな村が2つあります。村外との交流が乏しく、ほぼ自給自足の生活をし、雨季には村全体が多いときで3m近く冠水するという非常に厳しい生活環境におかれている地域。
村ではアラビア語が話され、カンボジア人でありながらクメール語(カンボジア語)を読み書きすることができません。
カンボジアンムスリムというマイノリティーの地域の為、今まで教育支援も入らず、公立学校が無い状態が続いていました。そのため、教育は村の大人たちがモスクに隣接した粗末な小屋で主にイスラム教に関連したアラビア語。マレー語を教えている程度でした。
建築条件的にも非常に難しい地域でしたが、本来の目的である「教育の行き渡っていない所に学校を」という想いを持って地域初の公立小学校の建設を決めました。
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建設地 | トボンクムン州(旧コンポンチャム州) トンレーベット区 ボンオンサオン地区 |
建設前の状況 |
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支援内容 |
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2016年4月18日、やくそくプロジェクト事務局メンバーがカンボジアへ渡り、建設を正式に決定する最終協議会が行われました。
政府関係者をはじめ、村長や村民のほとんどの方々、そして今回もこの学校建設をサポートしてくれる「JHP学校をつくる会」の関係者など多くの方が出席しました。
実際に学校へ通うことになる子どもたちの期待と不安が入り交じったような表情が印象的でした。
また、地方開発省の長官Mara Math氏が涙を流しながら、本プロジェクトへの感謝の言葉を述べてくださり、事務局メンバー一同プロジェクト遂行の想いを新たにしました。
地方開発省長官 Mara Math氏
2016年8月22日、当初の建設予定を大幅に短縮して無事に完成しました!
今年は雨季のスタートの降りが多くなく、工事に影響が出ませんでした。
完成した校舎は、地上3.5mmの高床式。雨量の多い時には村全体が3mm近く冠水するのでそれにも耐えられる高さでの建設となりました。
周辺には高い建物がないので、水のない時期だと宙に浮かぶかのような堂々たる見栄えです。
壁面には1校目の「バンティアイチャックレイ中学校」と同様に学校名ではなく、クメール語で、「この校舎は日本の多くの人たちの想いと支えによって建てることができました。生徒の皆さん、夢を持って一生懸命に勉強してください」と書きました。
2016年9月9日やくそくプロジェクト発起人の狩野富(左から2人目)がカンボジアに渡り、完成したボンオンサオン小学校を訪れました。
当日は、トボンクムン州教育局長、コミューンリーダー、村長、そして新しく決まった校長先生、村人、子どもたちなど、合わせて約60人が集まり歓迎してくれました。
この地に公立の小学校ができるということ、それはただ新しい学校が建つ以上の意味を持ちます。
前述のとおりこの地域はイスラム集落で、大人でもクメール語を読み書きできない人が大多数です。そのため街に出て仕事を得る事も、進学をする事も出来ず、この地域から出ることができないのです。
この度、ここに公立の小学校が出来上がることで国から教員が派遣されます。したがって、ようやくこの地域でもクメール語を習い、ちゃんとした初等教育を受けられるようになるのです。
教育を受けた子どもたちは将来、街に出て普通のカンボジア人と同じように働くことができます。さらに進学をする子どもたちもいずれ出てくるでしょう。
今までは全く閉ざされていた外の世界、将来への希望を手にすることができるのです。
2016年12月2日。完成したボンオンサオンの贈呈式が行われました。
今回も日本から、マーケットトラスト社員をはじめ協力会社の皆さま、「やくそく」プロジェクト事務局メンバーの総勢50名で現地まで行ってきました。
贈呈式の詳しい模様は、下記にて紹介しています。