カンボジア学校再開に際して発行されたガイド
カンボジアでは9月より学校が再開されました。
再開にあたり「教育・青少年・スポーツ省」は、全公立学校に対して学校再開において以下のガイドラインが発行されたので、今回はそちらの内容を掲載いたします。
学校を再開するにあたって、安全性と効果的な授業を確保するために、
学生だけでなく、保護者や全ての教育関係者に 以下の7つのガイドラインを示す 。
(【JHP 解説】 このガイドラインは、保健省のアドバイスを受けて、教育・青少年 ・ スポーツ省
(Ministry of Education Youth and Sport )が 全学校に向けて発行したガイドラインになります。)
1.小学校再開の準備
小学校の全ての学校委員会は、「標準操作手順」(SOP: Standard Operating Procedure) を遵守し、 新型
コロナウイルス の感染防止を徹底すること。
(【JHP 解説】 本文は「 COVID 19 」ですが、 ここでは 「新型コロナウイルス」としました。)
安全で快適な学習環境の準備
授業の前に 、特に教室、図書館、実験室、食堂、トイレ、 手洗い場 、校舎、遊び場 等の殺菌消毒を行う。
●教室、 校舎、備品 を清掃し、 ゴミの管理を徹底する。
校内における安全、秩序、ソーシャルディスタンスの維持
生徒の机と椅子を少なくとも 2m 間隔に配置し、 1 クラスは 15 から 20 名 とする。
校門の前では 密 を避けるために、 生徒同士 1.5 mの距離をあけながら校内に入る。
休憩時間は、教室内 に 生徒 同士 が固まらないように、 一部の生徒は教室外で過ごす様にさせる。
トイレで手を洗う際も、生徒同士適切な距離を保つようにする。
●生徒と教師及び学校関係者の健康増進に必要な事
保健室の整備が可能か確認する。また、緊急時の対応や生徒と教師及び学校関係者の健康診断を行う
教師を 一名 任命すること 。
親や保護者に対して、健康状態、国内外の旅行歴、 新型コロナウイルス の感染が懸念される子ども達の
会合に関して報告するよう指示する。
生徒と教師及び学校関係者 は、登校前に毎日検温を行い、 37.5 度以上の熱が有った場合は登校せず
自宅待機もしくは、医療機関に行くこと。
登下校時に生徒同士が 密になら ないよう 、時間の調整を行うこと。
●水供給・衛生物資の供給
学校内できれいな水が供給できるか確認すること。
また、生徒と教師及び学校関係者には、きれいな水はできるだけ自宅から持ってくるようにさせる。
●石鹸ときれいな水を備えた手洗い場を、トイレや教室のできるだけ近くに設置すること。
生徒と教師及び学校関係者 が 、必要な消毒用アルコールや手洗いジェルが確保できるか確認すること。
●新型コロナウイルス予防対策の衛生教育と訓練
生徒と教師及び学校関係者 に、ソーシャルディスタンスや学校施設の消毒など、新型コロナウイルスの
感染防止に対する基本的な教育を行う。
生徒と教師 に対して、新型コロナウイルスの感染リスクが高い場所に行くことや、感染の恐れが有る
集会を禁止する。
咳やくしゃみをするときは、口と鼻を肘やティッシュで塞ぐように、 生徒と教師及び学校関係者に指導
すること。また、そのティッシュは、ごみ箱に捨てさせること。
2、小学校再開の範囲
▲次の4つの指定地域、クラチエ市、ストゥン・トレン、ラタナ・キリ、モンドル・キリ県の公立学校は、
1 クラス 15 人から 20 人を保って全日授業を実施する。
(【JHP 解説】 この 4 地域は今までコロナ感染者が一人も出ていないため、フルタイムの授業が可能だと判断したようです)
▲その他の地区にある公立学校は、教室では、生徒同士適切な距離を取りながら短縮授業を行うとともに、
各地域で web 学習と配布物による自学習を進める事 。
3、授業
全ての公立校は、2020 年 9 月 7 日に授業を再開する。
▲全ての小学校は 9 月 1 日までに、学校環境を清潔にし、「標準操作手順」に基づいた衛生基準をまとめる
こと。
▲今学期は、 9 月 7 日から 1 2 月 末 迄とする。
▲国語(クメール語)と 算数 を主要科目とする。
▲その他の科目は次年度に持ち越す。
▲1 年生から 6 年生は、全日授業を行う 。(対象は 4 つの指定地域の公立学校)
・ 週 3 日登校、 1 日 4 時間授業。 12 時間の内、 7 時間を国語 に 、 5 時間を数学に充てる事。
・残りの 3 日は、 web 学習(テレビ、公式フェイスブック等)や、 学校や先生からの配布物を活用し
て、自学習やグループ学習を行うこと。
▲1 年生から 6 年生 は、短縮授業を行う。(対象は 上記 4 つの指定地域以外の公立学校)
・ 週 2 日登校、 1 日 4 時間授業。 8 時間の内、 5 時間を国語に、 3 時間を数学に充てる事。
・残りの 4 日は、 web 学習(テレビ、公式フェイスブック等)や、学校や先生からの配布物を活用して、
自学習やグループ学習を行うこと。
▲学期末に 理解度 評価試験を行い、進級か留年の点数付けを行う。
(ガイドライン7「生徒の理解度評価」 参照)
▲次期 2020 2021 年度の新学期は、2021 年 1 月 11 日からスタートする。
4、時間割
▲全ての小学校は 、 2020 年の 9 月から 12 月の 4 か月間、前述のガイドライン3の示す通りに、
国語と算数の主要科目で時間割を組み直すこと 。
▲4つの指定地域の公立学校は、1 クラス 2 つのグループに分けて全日授業を行う。
第 1 グループは月曜から水曜の 3 日間授業、第 2 グループは、木曜から土曜の 3 日間授業を行う。
授業の無い日は自学習やグループ学習を行う。
▲4つの指定地域以外の公立学校 は、1 クラス 3 つのグループに分けて短縮授業を行う。
第 1 グループは月曜と火曜、第 2 グループは水曜と木曜、第 3 グループは金曜と土曜日に授業を行う。
授業の無い 4 日間は、自学習やグループ学習を行う。
▲登下校 や休憩の時間 を きちんと決めること。
▲この時間割は、それぞれの学校の状況に沿って柔軟に決める。
▲1 クラスは、15 人から 20 人で授業を行う。
校舎が検疫所として使われる学校は以下の点を確認すること:
学校委員会、教師、子どもの親、保護者は、どのようにしたら充分に学びの場を生徒たちに提供できるか
話し合う。
教育省 は 、共有できそうな近隣の学校を探せるよう支援すること。
5、教育機関における新たな衛生習慣の確立
▲石鹸、消毒用アルコールやジェルを使うなど、衛生基準に従って校舎を清潔にして学校を再開すること。
▲新型コロナウイルス の症状と感染について、 全ての関係者に説明すること。
▲石鹸と清潔な水が使える手洗い場を確保すること。
▲保健センタースタッフの協力のもと、校門で検温を実施すること。
▲石鹸、消毒用アルコールやジェル、手袋の購入予算を確保するか、支援者を募ること。
▲子どもの送り迎え用の駐車場を用意すること。
▲登校する人は全員 、マスク又はフェイスシートを着用のこと。
▲校門に、体温計、消毒用アルコール、ジェル、マスクを持っていない人の為に用意しておくこと。
▲国旗への敬礼は教育者のみ。
(【JHP 解説】 コロナ前は、授業開始前に毎日教師と生徒全員で実施していました)
▲ソーシャルディスタンス確保のために、一列に並ぶこと。
▲トイレは密を避けるため、少人数ずつで使用する。
▲校内での食べ物販売は禁止する。親は軽食を家から持たせること。
▲生徒の年齢や言語に応じて、手洗いや体を清潔に保つこと、学校や教室での感染防止方法などの衛生教育
を実施すること。
▲学校でマスク製作のプログラムを設けることを推奨する。
▲生徒がストレスで悩まないよう励ます。
▲教師及び生徒において、帰国者または、検疫を受けた 14 日間の隔離者と直接接触した者は 、病院からの
健康証明証がない限り登校を禁止する。
風邪の症状が有る者も同様とする。
6、学習と教育
授業に備えて
・学校委員会と教師は、現時点での生徒の理解度を確認すること。
・生徒の理解度に合わせて 2 学期の授業を始めること。
・各単科はポイントを要約し、生徒には毎週宿題を課すこと。
全ての学年において、学習と教育を2 段階で進めて行く。
第1段階: e-learning と公共メディアを使った学習
第2段階: 色々な方法での学習(通学、それぞれの学校で実施している学習方法、配布物など、工夫して実
施)
(【JHP 解説】 以下7、8、9は、 Guidelines No.38には記載が有りませんでした。
7、生徒の理解度 評価
8、支援と助言
9、モニタリング、達成状況確認、報告
上記のようなガイドラインが設けられ、再開されたカンボジアの学校教育。
分散登校、教科は算数と国語のみなど色々と制限がありますが、それでも学校が再開され
徐々にではありますが、子ども達の元気な声が聞こえそうです。
カンボジアはもとより私たちの日本国内でも学校教育の進め方はこのコロナ禍のなかで、手探りな状況ではありますが、正しく状況に対処しながら臨んでいけば、また以前のような活気あふれる学校生活が戻ってくると思っています。
そして私たち「やくそく」プロジェクトも
「今私たちにできることを、できるだけたくさん、できるだけ長く」という変わらぬ想いで
歩みを止めることなく走り続けてまいります。
「やくそく」プロジェクト事務局